研究室紹介(生命有機化学研究室を希望する学生向け)

○生命有機化学研究室の心得

 生命有機化学研究室では、研究を通じて社会人に(特に研究者として)必要な能力を養成します。就職活動のために研究するのではないことを理解してください(=「就職予備校」ではない。研究のプロフェッショナルを養成する)。 研究活動を行ううえで、以下の心得を守れる人を求めています。


一、研究室は、社会に出るためのトレーニングの場でもある。自分が大人であり、社会人であることを自覚する。
(大学は遊び場ではない。教員への甘え・依頼心をもたないこと。大学も社会の一部であり、研究室のルール以前に社会のルールがあることを自覚すること。集合時間や締切を守る。遅刻・欠席の連絡を必ずする。)


一、指示待ち人間にならない。
(研究はこれまでに世界で誰も行ったことのない、新規なものである。学生実験のように漫然と受動的に実験するのでなく、能動的かつ主体的に必要事項を自分で学習しなければ成果はでない。)


一、研究はチームプレーであることを自覚する。
(試薬・生物試材の管理や他大学(他研究室)との共同研究プロジェクトへの協力を惜しまないこと。卒業した先輩方の成果も含めて、個人の研究だけで成果を挙げているわけではない。)


一、研究室メンバーが気持ちよく活動できるように周囲に気を配る。
(例:無くなりかけの薬品・消耗品の発注を忘れない、実験台を整理整頓する、卒論・修論などを大切に扱う、個人所有の書籍などは必ず許可を得て使う、など)


一、自分の研究以外のことも理解する。
(自分が使わない機械、メンバーの研究内容、研究室が関与している全般的なことに対しても興味・知識を持つこと。研究に関するアイデアを出すためのヒントにもなる。)



○研究を通じて学ぶこと

 工学部では、ひとりひとりの学生が自ら向上心をもって主体的に学修し、困難に立ち向かう「自主自律と進取の精神を有する学士(工学)」の育成を目指しています。
 化学生命工学プログラムでは、物理化学や有機化学などの一般化学と生命現象に関わる化学を基礎として学び、新物質や機能材料、バイオテクノロジー、分析や化学計測、医薬や医用材料、環境保全やエネルギーなどの研究や技術開発を担うことができる能力の習得が求められます。
 企業では、『確実な基礎学力』『論理的思考力』『協調性・コミュニケーション力』『創造性・デザイン力』などが求められます。
 生命有機化学研究室では、工学部、化学生命工学プログラムの教育目標に沿って、自主自律と進取の精神を有する学生を育成し、社会人(研究者)に必要な下記の能力を養成します。


<基礎学力>
研究テーマに関する周辺知識や実験手法の原理原則を学ぶことで、基礎知識の向上を図る(学生主体の勉強会を毎週行っている)。 文献調査や学会・セミナー等を通じて、過去の研究の流れや最新の研究の動向を把握し、専門性を高める。

<論理的思考力>
研究を遂行する上で、特に必要なスキル。また、どんな職業でも仕事を進める上で重要なスキル。
あらかじめ結果を予想して実験を行い、得られた結果を論理的・客観的に考察し、次の課題を検討する。これらを繰り返すことで、論理的思考力を鍛える。 研究の実施時には、成功することもあれば、失敗することもある。むしろ失敗したときに、論理的に原因を追及できなれば研究は進まない。

<協調性>
研究室での集団行動やグループでの研究活動を通じて、他者と協調してプロジェクトを成し遂げるトレーニングをする。

<コミュニケーション力>
実験結果や計画に関して、積極的に他者と議論し、意見をすりあわせることで、協調性やコミュニケーション力を身に付ける。 プレゼンテーションスキルや文章力など、相手に分かりやすく説明するスキルもコミュニケーション力と考える。 研究成果発表などにおいても、聴衆を魅了するためには筋道を立てて説明する必要がある。 ゼミや学会での発表、日々のミーティング等を通じて、論理的に分かりやすく説明するためのトレーニングをする。

<創造性・デザイン力>
自由な発想で、成功へと導く課程を考案し、創造性の向上を図る。また、得られた知見をもとに、新たな研究を自主的にデザインできるようになる。基礎学力が必要。



○各学年の到達目標

<学部4年生 (B4)>
1.研究テーマの技術的・社会的背景を理解する
2.実験手法の原理・原則を理解して、指示された実験を的確にこなすことができる
3.実験結果を論理的に考察して、卒業論文・プレゼンテーションにまとめて発表できる

<修士1年生 (M1)>
1.実験手法の原理・原則を理解して、後輩学生に実験手法を指導できる
2.指示された実験に対して、適切に条件を設定して、結果を論理的に考察できる
3.自らキーワードを設定して、文献調査ができる

<修士2年生 (M2)>
1.与えられた研究テーマの技術的・社会的背景を理解し、仮説を証明するための実験内容を適切に設定できる
2.論文を読んで内容を理解し、自身の研究に関するユニークなアイデアを出せる
3.実験結果を論理的に考察して、発表(プレゼンテーション・文章にまとめることが)できる


○研究の流れ

与えられた研究テーマの最終目標に向けて教員と綿密にディスカッションし、PDCAサイクルを廻しながら効率的に研究を行う。



<研究計画の立案(Plan)>
予想される最終結果に到達するために必要な実験を考案・計画し、実験の要所、難点などを把握する。

<実験の実施(Do)>
考案した計画に沿って、実験を実行する。予想外の出来事は、新規の発見につながることがあるので、絶対に見逃さない。

<結果の考察、途中経過と実験計画の整合性の確認(Check)>
実験結果が予想される結果と異なる場合、当初の予定との整合性を確認し、ずれや不具合について検討する。

<計画の改良(Action)>
実験・考察結果に基づき、研究計画に変更が必要な場合は、十分に議論した上で、計画を補正する。

<研究の完了、成果の発表>
研究費用の多くは、国民の税金である。研究成果は、学会発表や学術論文として必ず発表する。





○卒業・修了生の進路(2021年度以前は旧隅田研究室の実績)

2023年度
<修士卒>
持田製薬工場(株)・東洋紡(株)・小川香料(株)・関東化学(株)・(一社)日本血液製剤機構・サミー(株)・鹿児島大学大学院理工学研究科博士後期課程進学


2022年度
<修士卒>
協和発酵バイオ(株)・KMバイオロジクス(株)・(株)テクノプロ・(株)新日本科学・第一三共バイオテック(株)・第一三共ケミカルファーマ(株)・田辺三菱製薬工場(株)
<学士卒>
保険会社


2021年度
<修士卒>
生化学工業(株)・第一三共バイオテック(株)・(株)井上香料製造所・一般社団法人日本血液製剤機構・富士レビオ(株)
<学士卒>
出水市役所・(株)ストライプインターナショナル


2020年度
<修士卒>
小野薬品工業(株)・川澄化学工業(株)・KMバイオロジクス(株)・シミックCMO(株)・神東塗料(株)・田辺三菱製薬工場(株)・中外製薬工業(株)・デンカ(株)・(株)ワールドインテック


2019年度
<修士卒>
KMバイオロジクス(株)・JCRファーマ(株)・大正製薬(株)・(株)ナード研究所・(株)ワイエムシィ・学校法人都築教育学園
<学士卒>
(株)アソウ・アルファ



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