研究室概要

災害発生時に痛感することの一つに、きれいな水の大切さがあると思います。きれいな水は、私たちの生活に欠かせない重要な資源です。また、食料生産、工業生産、生態系保全にも不可欠です。

きれいな水を守るために、環境化学研究室では、分析化学、質量分析学、量子力学、無機化学を用いて、水環境中の構造が未知な化学物質(未知汚染物質)の構造を明らかにする技術などを開発しています。

研究では、スーパーコンピュータや高分解能質量分析など、最先端の装置や技術を使います。それらの使用経験や関連知識は、環境保護だけではなく、創薬、食品安全、科学捜査、高機能化学物質開発、半導体製造など、幅広い分野で役立ちます。

未知汚染物質の化学式と構造の推定

当研究室では、未知物質の分子量を小数第4位まで精密に測定します。ページトップの写真は、その様子です。例えば、一酸化炭素(CO)と窒素ガス(N2)の分子量は、整数質量では両物質とも28ですが、精密質量は27.9949と28.0061であり、異なります。これを拡張して考えると、例えば、河川水中から検出された未知汚染物質の分子量が180.0634だった場合、少し大げさに表現すると、その化学式はC6H12O6しかあり得ないと言えてしまいます。

このようにして、容易に化学式を推定できますが、問題は、同一化学式で構造が異なる異性体が数多く存在することです。環境汚染物質のように極低濃度の物質の構造を迅速に推定する方法はありません。言い換えると、異性体を見分ける方法がないということです。

そこで当研究室では、異性体毎に分子内の結合が弱い場所が異なり、それを量子力学と反応速度論を用いれば理論的に明らかにできると考え、理論計算結果と実測結果を照らし合わせることで異性体を区別する技術を開発しています。 開発された技術は、環境保護だけでなく、創薬、食品安全、科学捜査、高機能化学物質開発、半導体製造など、幅広い分野で役立つと期待されます。

概要

講師 高梨 啓和(たかなし ひろかず)
職名 准教授
電話番号 099-285-8336
E-mail takanashi[at]cb.kagoshima-u.ac.jp
(※[at]を@に置き換えて下さい。)
研究キーワード 水環境、微量有害物質、構造推定
講師 中島 常憲(なかしま つねのり)
職名 准教授
電話番号 099-285-8337
E-mail tsune[at]cb.kagoshima-u.ac.jp
(※[at]を@に置き換えて下さい。)
研究キーワード 微量元素分析、クリーンコールテクノロジー、有害元素固定化
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