Yoshidome-Mitsushio laboratory

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Research

非平衡結晶析出過程の解明と応用、および新規化学計測法の開発
小型で高機能・高性能のSPRセンサーシステムの開発
 SPR現象を利用した高機能で小型のセンサーシステム
  基本原理   金属蒸着ガラス棒センサー
  選択性の付与
 角形の断面を持つガラス棒と偏光を利用した多機能のSPRセンサーデバイス 
  角形の断面を持つガラス棒を用いるSPRセンサー



 SPR現象を利用した高機能で小型のセンサーシステム
 基本原理

表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance; SPR)は、
金属薄膜層を形成したプリズムなどの高屈折率媒体表面の
内表面(図の下側)から光が入射されたとき、
金属薄膜と接触している試料の屈折率(濃度)に応じた
波長や入射角の反射光が消失する現象です。



光源にLEDを用い、プリズムの代わりにガラス棒のように
細長く、屈折率が大きな媒体を用いることにより、
簡単な回路で小型の屈折率(濃度)センサーを
構築することができます。



本研究では、このような装置を構築することにより、 
透過する光の強度を計測するだけで
液体試料の濃度が分かる装置の開発を行っています。


 金属蒸着ガラス棒センサー

発光ダイオード(LED)のスペクトル


様々なLEDと金属を用いた場合のセンサーの応答
センサーの応答は光源の波長、金属種、金属の膜厚の 
3つで決まり、これらを上手く組み合わせることで
センサーの応答特性をデザインできます。


 選択性の付与


DuPont社のテフロンAFシリーズは、その内部に
半径3~8Åの微細孔を持っており、
これを選択膜としてセンサー表面に被覆することで、
本センサーに選択性を与えることができます。


そこで、このような構造の選択膜層を作製することで、
分子の大きさを認識して選別できるセンサーを
構築することに成功しています。
PEGチオール層は増感の役割を果たし、
感度がこの層が無い場合の約2倍に向上します。


左が選択膜が無い場合、右がテフロン選択膜で
被覆した場合の応答です。

選択膜が無い場合、グルコース(ブドウ糖)を添加すると、
その分の屈折率変化に応答し、エタノールのみの
検量線から下にずれてしまいます。
これに対し、右のように選択膜を被覆すると、
グルコースの影響を完全に排除して
エタノール濃度のみに応答していることが分かります。 

現在、この選択性について精査し、
新しいセンサー素子の開発を行っています。


 角形の断面を持つガラス棒と偏光を利用した多機能のSPRセンサーデバイス
 角形の断面を持つガラス棒を用いるSPRセンサー


基本的な原理はこれまでのセンサーと同じですが、
断面が正方形のガラス棒をセンサー素子として利用し、
偏光を入射することで、偏光の向きで応答する面を
制御することができます。

したがって、センサーの側面に異なる金属薄膜層を形成し、
偏光を制御すると、これまでの丸形ガラス棒センサーの
二つ分の応答を一度に測定することができます。